根管治療は、歯の内部の歯髄（神経や血管が含まれる組織）まで細菌が感染した場合や、炎症が発生した際に行われる治療法で、歯の保存において非常に重要な役割を果たします。

この治療は、感染した部分を取り除き、根管を清掃・消毒することを目的としています。

根管治療と、根管治療の鍵となる機器、エンドアクチベーターについて解説します。

■むし歯と歯髄の関係

◎むし歯は細菌感染

むし歯は、口腔内の細菌が歯を侵食し、進行していく病気です。

初期段階ではエナメル質や象牙質に留まりますが、進行すると歯髄まで到達し、激しい痛みや炎症を引き起こします。

歯髄が感染すると、細菌が増殖して炎症が起こり、深刻な問題を引き起こす可能性があります。

歯髄を残しておくほどその歯の寿命はのびますが、感染が起こると残しておくことができないため、多くの場合、取り除く必要があります。

■根管治療について

◎根管治療の流れ

まず、X線撮影などを行い、歯の状態を診断し、感染の範囲や根管の形状を確認します。

次に、治療部位に局所麻酔を施し、ラバーダムを使用して治療部位を隔離します。

麻酔が効いたら特殊な器具を用いて、感染した歯髄組織を取り除きます。

根管内を徹底的に清掃し、消毒剤を詰めて細菌を除去します。

これを何度か繰り返し、根管がきれいになったら、根管をガッタパーチャと呼ばれる材料で密封します。

治療後、土台となる部分を設置し、クラウンやインレーなどを使用して歯を修復します。

◎根管を無菌にすることが大切

根管治療の成功には、根管内を無菌状態に保つことが不可欠です。

細菌が残っていると、再び炎症や感染を引き起こし、治療の効果が失われる可能性があります。

そのため、徹底的な清掃と消毒が重要です。

■エンドアクチベーターとは？

◎根管を清掃する革新的な機器

エンドアクチベーターは、根管治療の際に使用される医療機器の一つで、根管内の洗浄効果を高めるために開発されました。

◎「動的」洗浄

エンドアクチベーターは、「動的」洗浄を実現する器具です。

洗浄剤を、楕円運動を伴う音波によって振動・攪拌させることで、根管内の隅々まで洗浄剤を行き渡らせ、従来の方法よりも強力な洗浄を可能にします。

この動的洗浄により、細菌を効果的に除去でき、根管内を無菌状態に保つことが容易になります。

通常の根管消毒だけでは落としきれない汚れを落とすことができます。

■根管内が無菌にできないとどうなる？

◎再度炎症が起こる

治療後に根管内に細菌が残っていると、再び炎症を引き起こすことがあります。

これにより、痛みや腫れが再発し、再治療が必要になることがあります。

再治療は患者さまにとって負担が大きく、治療期間も長引くことが多いです。

◎根尖の嚢胞とは

根管内の感染が再度進行すると、根尖部（歯の根っこの先端）に嚢胞が形成され、膿がたまることがあります。

この嚢胞は、持続的な感染源となることもあります。

また、嚢胞が大きくなると、周囲の組織にも悪影響を及ぼすことがあります。

◎蜂窩織炎などの重い感染となることも

最悪の場合、炎症が広がり、蜂窩織炎などの重篤な感染症を引き起こすことがあります。

蜂窩織炎は、歯周組織や骨にまで炎症が広がる深刻な状態で、早急な治療が必要です。

【再度炎症を起こさないことが大切】

根管治療において最も重要なことは、治療後に再度炎症を起こさないことです。

適切な治療と適切な医療機器の利用により、根管内をより無菌に近づけることで、再発のリスクを大幅に減らすことができます。

エンドアクチベーターのようなツールを活用することで、治療の成功率が上がります。

当院では根管治療にエンドアクチベーターを使用しています。

治療後の再感染を繰り返してしまうなど、より効果の高い根管治療をご希望の方はぜひ当院にご相談ください。